リスニング力アップのためには、英語の音声変化を知るべきって聞いたけど…
音声変化って具体的にはどんなことなの?
このようにお悩みの方へ、以下について解説していきます。
本記事の内容
- 音声変化とはどんな現象か
- リスニング力アップのために知っておきたい音声変化の具体例
- 音声変化を完璧に聞き取れるようになる勉強法
この記事を書いている私は、TOEIC950点を2回連続で取った経験があります。リスニングは1回目が490点、2回目が満点でした!
リスニング力アップのために、単語の発音を勉強している人は多いと思いますが、それだけでは聞き取れる英語に限界があります。TOEICリスニングを正確に聞き取れるようになるためには、英語の音声変化を聞き取れるようになる必要があります。
そこで本記事では、英語の音声変化のパターンや勉強法を解説していきます。
そもそも音声変化って何?
音声変化とは、英語をスムーズに話そうとするときに本来の音が変化する現象のことです。
リスニング学習をしていると、台本に書いてある単語が本来の発音で読まれていないことに気付いている人も多いと思います。それはまさに音声変化が原因なのです。
代表例
- let it go:レリゴー
- not at all ナラロー
- good job: グッジョブ
この例のように、ネイティブスピーカーは音をつなげたり、省略したり、変化させながら英語を発音しています。
そもそもなんで英語をスムーズに話そうとすると音が変わるの?
実は日本語でも音声変化はあるので、日本語の場合の音声変化を考えると、英語で音声変化が起こる理由がイメージしやすいです。
例
- 〜している→〜してる
- なので→なんで
- せんたくき→せんたっき
音が変わった後のほうが読みやすいですよね。これと同じことが英語でも起こっていると考えてもらってOKです。
音声変化を学ぶメリット
リスニング対策のために音声変化を学ぶ最大のメリットは、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになることです。
英語は流れるように読まれる特徴があるので、ほぼすべての文章で音声変化が起こっています。だからこそ、正しくリスニングをするためにはこの音声変化に気づいて、本来はどんな単語なのかを認知する必要があるのです。
しかしこれほど大事なことなのに、日本の普通の教育では、音声変化という概念すら学ぶ機会がありません。
音声変化が起こることすら知らないので英語を聞き取れず、リスニングでつまづく人が多いんですね。
なので今まで勉強してこなかった音声変化を学べば、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになり、結果的にTOEICのスコアアップにつながるのです。
音声変化ってどんなものがあるの?
この章では、音声変化には具体的にどのようなものがあるのかを解説していきます。
英語は流れるように話される言語だということを念頭においておけば、音声変化のすべてのパターンが腑に落ちるようになります。
音声変化には厳密にいうと5つのパターンがありますが、極めて似ているものがあるので、この記事では3つにまとめて紹介します。
例
- tell her: テラー→連結
- did you: ディジュー→同化
どちらも単語がつながって発音されているように聞こえますが、音声学的には別の現象だとされています。
ですがリスニングする上では、どっちが連結でどっちが同化なのかを区別する必要はありませんよね。単語がつながって発音されていることの方が大切なはずです。
なのでこの章では、音の変化の仕方を基準にして以下3つの音声変化パターンを紹介していきます。
- 音声変化1: 連結・同化 (リンキング・リエゾン)
- 音声変化2:変形(フラッピング)
- 音声変化3:脱落(リダクション)
それでは1つずつ解説していきますね。
音声変化1:連結・同化(リンキング・リダクション)
連結と同化は厳密には別の現象だとされていますが、極めて似ている現象なのでまとめて紹介します。
連結・同化とは、複数の単語が並んでいる場合に一つ目の単語の「最後の音」と次の単語の「最初の音」がつながって、音が変化する現象のことです。
My name is…(マイネームイズ、ではなくマイネーミズ)
単語が連結・同化する条件
- 子音で終わる単語と、母音で始まる単語が並んだとき
- T, D, S, Z で終わる単語と、Yで始まる単語が並んだとき
条件まで覚える必要はありませんよ!あくまでも参考までに紹介しているだけなので!
例
- get up: ゲット アップ→ゲラップ
- good afternoon: グッド アフタヌーン→グッダフタヌーン
- I want you: アイ ウォント ユー→アイウォンチュー
- did you: ディドゥ ユー→ディジュー
- What’s your name?: ワット ユア ネーム?→ワッチュアネーム?
音声変化2:変形(フラッピング)
変形(フラッピング)とは、 “t”の音がラ行とダ行の間のような音で発音される現象のことです。
better (ベター、ではなくベラー)
変形(フラッピング)が起こる条件
- “t” が母音に挟まれているとき
- tやdが母音とlに挟まれるとき
例
- water: ウォーター→ウォーラー
- butter: バター→バラー
- shattle: シャトル→シャロゥ
- Seattle: スィアトル→スィアロゥ
音声変化3:脱落(リダクション)
脱落(リダクション)とは、本来発音されるはずの音が発音されない、あるいは聞こえにくくなる現象のことを指します。
stand by (スタンドバイではなく、スタン(ド)バイ)
脱落(リダクション)する条件
- 子音が連続する時
- 破裂音が語末に来るとき
- t, d, kが、子音と子音の間に来るとき
破裂音とは、p, t, k, b, d, gの音で、口のどこかで空気を完全にせきとめて、それを解放することで出す音のこと。
例
- good bye: グッドゥ バイ→グッバイ
- don’t talk: ドントゥ トーク→ドントーク
- gas station: ギャス ステーション→ギャステーション
- speaking: スピーキング→スピーキン
- every night: エヴリ ナイト→エヴリナイッ
音声変化を完璧に聞き取れるようになる方法
当たり前ですが、音声変化は記事や参考書を読んでいても聞き取れるようにはなりません。大事なのは実際に音声を聞くことです。
そこでこの章では、音声変化を完璧に聞き取れるようになるための勉強法をご紹介していきます。
具体的には以下の3ステップです。
- 音声を聞く前に台本を読んで、どこでどんな風に音声変化が起こるかを予想する
- 予想をもとに、自分だけで発音してみる
- 実際に音声を聞いて確認・復習する
それでは1つずつ解説していきますね。
音声を聞く前に台本を読んで、どこでどんな風に音声変化が起こるかを予想する
まずは音声を聞く前に台本に目を通して、どこでどんな風に音声変化が起こるかを予想しましょう。
予想するときに大事なのは、できるだけスムーズに英語を読むためにはどう音声変化したらいいかを考えることです。
shut up…子音で終わって母音で始まっているから…. 連結かな?
みたいな考え方では予想しないように気を付けてください。とにかく流れるように英語を読むことを意識して予想してくださいね。
keep it up… キープイットアップ→キーピッタップ→キーピダッ→キーピラッみたいな感じか!
どんな風に音が変わるか予想してみましょう
- Did anyone attend his lecture?
- He’s quite tall for his age.
- I’ve had it for a little over a year.
実際に発音してみる
どこでどんな風に音声変化が起こるかを予想したら、次は実際に発音してみましょう。
予想して実際に発音しておくことで、お手本の音声を聞いた時に正解・不正解のインパクトが強烈に残るので、必ず予想と発音はやってくださいね。
音声変化を意識して自分なりに発音してみましょう
- Did anyone attend his lecture?
- He’s quite tall for his age.
- I’ve had it for a little over a year.
実際に音声を聞いて確認・復習する
音声がどう変わるかを予想した上で、自分なりに発音し終わったらいよいよお手本を聞いていきます。
このとき注目して聞いてほしいのが以下の3つです。
- 自分の予想と同じように変化した部分
- 自分の予想とはちがう風に変化した部分
- 変化するとは思っていなかった部分
予想が的中していれば音声変化が分かるので、脳が気持ちよくなってどんどん勉強がはかどります。もしも予想が外れていても、「予想が外れた」という印象は強烈なので、正しい音声変化が脳に記録されやすくなります。
予想とは違った音声変化をしていた場合は、どうしてそう変化するのかを考えましょう。もう一度その部分を極力スムーズに読んでみれば、最初は予想していなかったけど、「言われてみればこっちのほうがもっとスムーズに読めるな」と気づくことがあります。
正解・不正解どちらにしても、学んだ音声変化は脳に深く刻み込まれるので、実際の音声は必ず聞くようにしましょう。
予想と音読のステップを飛ばしてしまうと、この勉強法の効果が薄れてしまいますので、必ずすべてのステップをやりましょうね。
実際に音声を聞いて正しい発音を確認しよう
Did anyone attend his lecture?
He’s quite tall for his age.
I’ve had it for a little over a year.
音声変化に慣れるための教材
実際に音声変化を予想して音声を聞いたみなさんであれば、予想と音読、そして正しい音声変化の確認をすることで得られる効果を実感したと思います。
前の章で練習したように、英語の音声変化に慣れるにはとにかく予想→答え合わせのサイクルを回していくしかありません。そしてそのサイクルを回すためには、音声と台本が揃っている教材が必要です。
なのでこの章では、音声変化に慣れるための教材を2つご紹介します。
- 公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編
- TOEIC® L&Rテスト精選模試 リスニング2
それではそれぞれ紹介していきますね。
公式 TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編
こちらはTOEICの公式による、リスニングPartの問題集です。なんと372問も掲載されています。
掲載されている問題は、TOEICを開発したETSという機関が本番のテストと同じプロセスで制作した問題ばかりで信頼性がめちゃめちゃ高いです。
それに他の問題集では実現不可能な、公式スピーカーによる音声が収録されています。本番で読まれる英語そのもので練習できるので、この問題集で音声変化を聞き取るトレーニングをしておけば、本番でのスコアが上がること間違いなしです!
CDでしか音声が聞けないのが惜しいですが、ご自宅にCDを再生できる環境があればぜひ手に取ってほしい問題集です。
TOEIC® L&Rテスト新形式精選模試リスニング2
こちらは、100問×5セットで500問もの問題が掲載されている模試集です。
500問もあるので、音声変化を予想→音読→答え合わせのサイクルをひたすら回せます。問題数が多いので、音声変化だけではなく普段のリスニング学習にも使えるコスパ最高の問題集になっています。
音声をダウンロードできるので、どこでも勉強できるのがおすすめポイントです
音声変化について学べる教材もあるけど…
問題集じゃなくて、音声変化について学べる本はないの?
音声変化について学べる本ももちろんあります。
とはいえ、TOEIC800点を取るために知っておくべき音声変化の知識はこの記事に凝縮してありますので、わざわざ購入する必要はないとかと思います。
それよりも、問題集を使って音がどう変化するかを予想→実際に発音→答え合わせのサイクルを回したほうが、効率よく音声変化について学べます。
どんなときに音声変化するのかを文字を勉強しても、いつまでたっても耳は成長しませんからね。
まとめ:音声変化に慣れればリスニング力は劇的に伸びる!
この記事では、英語の音声変化とその勉強方法について解説してきました。
この記事のおさらい
- 英語の音声変化とは、スムーズに読むために音が変化したり消えたりする現象
- 音声変化のパターン3つ
- となりの単語の最初と最後の音がくっつく「連結・同化」
- “t”の音がラ行とダ行の間のような音に変わる「変形」
- 本来発音されるはずの音が発音されなくなる「脱落」
- 音声変化を完璧に聞き取れるようになるための勉強法
- 音声を聞く前に台本を読んで、どこでどう音声変化するかを予想する
- 予想をもとに実際に発音してみる
- 音声を聞いて確認・復習する
- 音声変化に慣れるための教材は、参考書よりも問題集
音声変化を聞き取れるようになれば、リスニング力が格段にレベルアップしてTOEICのスコアもメキメキ伸びていきます。
なのでこの記事の内容をしっかりと理解したうえで、音声変化を予想→発音→答え合わせのサイクルをたくさん回して音声変化に慣れていってくださいね。
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